「米国経済の転換点:格下げショック、関税交渉、トランプ外交の4日間」

金融

2025年5月15日〜18日の米国経済ニュースまとめ

2025年5月15日から18日にかけて、米国経済と政界は歴史的な転換点を迎えました。米中間の関税大幅引き下げ合意や、ムーディーズによる米国債の格下げという重大ニュースが相次ぎ、金融市場は大きく揺れ動きました。さらに、トランプ大統領は対中・対露外交から国内政策、歴史認識に至るまで連日の発言を繰り返し、国際社会と米国内に波紋を広げています。本記事では、この期間に起きた米国経済の主な動きと、トランプ大統領の発言・行動を総合的に解説します。

米中関税協議で大きな進展

トランプ大統領が今週末に中国の習近平国家主席と電話会談を行う可能性を示唆しました。

さらに「今こそ中国は市場開放のとき」と述べ、習主席との直接交渉の可能性も示されています。この急速な関係改善の動きは、トランプ大統領自身が「関税の最低基準は10%」との認識を示し、柔軟な姿勢を見せ始めている点が背景にあります。

トランプ氏、中東訪問で3か国から2兆ドル獲得

トランプ大統領は2025年5月13日から16日にかけてサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)を歴訪し、これら3カ国から総額2兆ドル(約290兆円)超の対米投資・経済協定を獲得したと発表しました。

日本の政治家にもこんなアグレッシブでビジネスマンみたいな人はいないかなぁ。。

内訳としては、サウジアラビアからは6000億ドル(約88兆円)の投資確約と、1420億ドル(約21兆円)の武器売却協定が含まれています。UAEからはエティハド航空によるボーイング機購入などを含めて2000億ドル(約29兆円)超の投資・契約がまとまり、今後10年間でAIや半導体分野などに200兆円以上の追加投資も約束されました。カタールとの間では、航空機購入やエネルギー分野などで総額2435億ドル(約35兆円)超の投資協定が締結され、今後最大1兆2000億ドル(約174兆円)まで拡大する計画も示されています。

この金額を各国投資できる財力があるのがすごいよね

 

 

 

ロシア・ウクライナ情勢への介入表明から一転

5月17日、トランプ氏はプーチン大統領との電話会談を日本時間19日午後11時に実施するとSNSで発表しました。これに先立ち、15日のカタール演説では「ロシアとウクライナの直接協議に参加する可能性」を示唆し、16日には「状況次第で16日に現地入りする」と発言するなど、積極的な関与姿勢を打ち出しました。

しかし、一転して「トルコ入り示唆」から帰国表明し、展開を見守ることに。現地トルコではプーチン氏・ゼレンスキー氏・トランプ氏の誰も参加しない会談となりました。

誰も来ないのはトルコ政府もがっかりしてるだろうね!

歴史認識を巡る物議

5月15日のカタール・アルウデイド空軍基地での演説では、第2次世界大戦の仮定史観に基づく発言が飛び出しました。「米国が連合国に加わっていなければ、今日私たちはドイツ語や日本語を話していただろう」との趣旨の発言で、フランスの戦争貢献を軽視する内容が国際的な批判を招いています。

外交パフォーマンスの特徴分析

トランプ氏の発言スタイルは「予告と実行の乖離」を特徴とします。5月12日の「地球を揺るがす発表」が医薬品価格引き下げに終わった事例、16日の「トルコ入り示唆」から一転した帰国表明など、意図的な注目誘導戦略が垣間見えます。政治コミュニケーションの専門家は「メディアの注目を持続させるための計算された戦術」と分析し、支持層には効果的だが国際的な信頼性を損なうリスクを指摘します。

ムーディーズによる米国債格下げと市場への影響

2025年5月16日、米格付け大手ムーディーズ・レーティングスが米国債の長期信用格付けを最上位の「AAA」から「Aa1」へ1段階引き下げたことが、今週最大の経済ニュースとして注目を集めました。この決定は米国政府の財政赤字拡大と債務返済能力への懸念を主な理由としており、1917年以降初めて同社が米国債の最高位格付けを剥奪した歴史的な出来事となりました。

金融市場の影響

ムーディーズによる米国債の格下げ報道を受けて、株式市場と為替市場には明確な影響が出ています。

まず、米国債市場では2年物国債利回りが格下げ発表後に上昇し、一時4.012%まで達しました。また、米長期金利の指標となる10年債利回りも下落から反転し、4.499%まで上昇しています。これは投資家が米国債の信用リスクを意識し、債券を売却する動きが強まった結果です。

株式市場では、米国株価は下落し、日本株も米国以上に下落する展開となっています。これは、格下げによる財政への不安や、今後の金融政策・経済見通しに対する警戒感が広がったためです。市場関係者は「議会の予算協議の問題点が浮き彫りになった」と指摘しており、政治的な不透明感も株価の重荷となっています。

為替市場でも、米国債の格下げを受けて安全通貨である円への資金シフトが起き、円高傾向が強まっています。ドル指数も下落しており、週明けの為替市場全体でリスク回避の動きが目立つと予想されます。

サンデードル円。17日朝の引け間際の発表で終値146.62円からの下落。

難航する日米協議:交渉材料は為替か

日本とアメリカの関税交渉は、2025年5月中旬時点で依然として難航しています。これまでに2回の閣僚協議が行われ、直近の協議(5月1日)では約130分にわたる議論の末、両国とも「早期合意を目指し、率直かつ建設的な議論を続ける」ことで一致しましたが、具体的な着地点は見いだせていません。

日本側は、自動車や自動車部品への追加関税(25%)の見直しを強く求めている一方、アメリカ側はこれに応じない姿勢を崩していません。日本はアメリカ製自動車の輸入促進策や造船分野での協力案など、具体的な交渉カードも提示していますが、アメリカ側は「非関税障壁」の撤廃などを求めており、双方の主張には隔たりがあります。

財務省は為替の協議をするのか

日米関税交渉の中で、為替協議が議題に上がる可能性は十分にあります。実際、5月20日以降に予定されている日米財務相会談や3回目の関税交渉に向けて、市場では「為替協議の思惑」が広がっており、円高への警戒感も強まっています。

今後、関税交渉が難航した場合や米国の貿易赤字削減政策が行き詰まった場合、為替政策への関心がさらに高まり、米国側から円安修正やドル安政策への協力を日本に求める展開も想定されます。

まとめ

2025年5月中旬、米国を中心とした世界経済と国際情勢は大きく動きました。米中間での関税大幅引き下げ合意や、トランプ大統領による中東歴訪での巨額投資確約の獲得、そしてムーディーズによる米国債格下げという歴史的ニュースが相次ぎ、金融市場は株安・円高・米長期金利上昇といったリスク回避の動きを強めています。
一方で、日本と米国の関税交渉は依然として難航し、為替協議が主要議題となる可能性も高まっています。
トランプ大統領は外交・経済・国内政策にわたり連日の発言を繰り返し、国際社会と市場に大きな影響を与え続けています。
今後は、米国の財政運営や各国の政策対応が市場の安定と経済の行方を左右する重要な局面を迎えます。

 

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